それから季節が巡りに巡って。


泉が卒業している年になった。
レンタル彼氏を辞めてから一年以上が経った。


あの後、結局泉って名乗った女の子は現れなかったし。
思い過ごしなんだと思った。


バイトに行って、帰宅したら鈴恵さんとご飯作って。
たまに美佳と会って、他愛もない話をする。

そんな毎日だった。


毎日、起きて。
ご飯食べて。
働いて。

おはようって行ってもらえて。
笑って。

こんな毎日を大事だと。


少しずつ思って来ていた。


きっとそんな俺に罰が下ったんだ。



携帯は美佳以外、連絡がない。
そんな携帯に久しぶりに来たメール。

相手は聖だった。



「聖…?珍しいな」



今年は猛暑で、部屋の中にいても汗が垂れてくる。
その汗を拭いながら、俺は聖のメールを読んだ。


【久しぶり!伊織、元気?】


そんな、メール。
本当に久しぶりだな。


まさか、また連絡が来るなんて思ってなかった俺はすぐに連絡をした。