そこには。





【出たら迎えに行く】

ただ、それだけしか書いていなかった。





今どうしてる、だとか。
これがしたい、だとか。


そんな、康博さんの日常や願いなんか一切書いていない。



ただ、一言。


迎えに行く。


それだけ。



ずっと、ずっと。


待ってる。



ぽたぽたと涙が溢れ落ちる。

好きだなんて思ったこと、今まで一度だってなかった。


好かれてることはわかってた。


自分が好きになるかもだなんて、疑ったことすらなかった。




だけど、今この手紙を見て果てしなく嬉しいと思ってしまう私がいる。

いつから、こう思うようになったのかはわからない。



社長は、康博さんは、いつだって近くにいたから。


私が求めてもいないのに、いつも私に構って、私を甘えさせてくれたから。




だから。


警察が押し寄せた時のあの一言で、康博さんが何もかもを背負うことがわかったんだ。




そんな貴方を、私だけは見捨てない。

待ってるから。



ずっと。

例え何もかもを犠牲にしても。