レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「私が聞いていいの?」



そう、問い返す泉は真面目な顔をして言った。


……何を、言ってるんだろう。

寧ろ、泉以外に聞いてもらいたいと思わないけれど。


「泉に全部知ってもらいたいの」



台所の前で立ち尽くす泉に俺はそう言った。


その言葉を聞いた泉は仄かに頬を染めて、ゆっくりと微笑んだ。




きっと。


お互いがお互いを求め過ぎていて。


一つ一つの言葉や、仕草が不安なんだと思う。




離れたその日から、今まで。


ずっと、好きだったから。



俺はなかったけど、泉の場合出会いなんて山程あったはず。

それに側には聖がいたんだ。


好きになってもおかしくない。




会うことも出来ず。

最低な別れ方をしたにも関わらず。



泉は俺だけを好きでいてくれた。



いつ、離れるかわからない恐怖は、もしかしたら泉の方が抱えているのかもしれない。




………突然、泉の前から姿を消したのは俺だったから。



親に捨てられて、苦しい思いをしたのに同じことをしてしまったんだ。