レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

ごくりと生唾を飲みながら、泉は俺を見た。

不安なのか、拳を強く握りしめてるのがわかる。



だから、俺は安心させるように出来るだけ優しく言った。



「…泉と離れたいとかじゃないからね?」


「……うん」



はっきり、否定すると泉は小さく頷く。



「…俺の、過去の話」



思ってもなかったことなのか、泉は目をぱちぱちとさせる。



「…過去?」



俺の言葉を反芻する泉。


ふっと笑ってから、俺は続けた。




「そう、過去。
何でレンタル彼氏を始めたのか、なくしたのか、今までのこと、全て」


「…………」



また、泉はごくりと生唾を飲み込んだ。

きっと、ずっと泉は知りたかったはずだ。



どうして、レンタル彼氏をしなければならなかったのか。

最初の頃、泉に聞かれたりしてたけど、有耶無耶にしていたから。





あの頃は、まだ泉を信じる覚悟も、強さも、持ち合わせていなかったから。





「…いいの?」


「え?」



泉は俯いた顔を上げると、俺にそう尋ねた。

意味がわからなくて問い返す。