レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「…いや、この家本当何もないからさ、何か作るにもフライパンがない」


「……あんま食に興味ないから」


「食べないとダメだよ、伊織ただでさえ細いのに」


「泉が作ってくれたら食べるかも」



さらっとそう言うと、泉は目を真ん丸に見開いてから顔を背けた。



「…っ、本当っだね?」


「…?ああ、うん、食べるよ」


「や、約束ねっ」



背けた泉の顔は、何故か赤くなっていた。

…どうしたんだろ?




「じゃあ、今日から私ご飯作る」


「今日から?」


「毎日来る!……ダメ?」


「…いや、いいけど…泉大変じゃね?」



来てくれることは嬉しい。

だけど、俺は条件付きを望んでいるわけじゃないし、泉が来たい時にいつでも来たらいい。




「…ううん、作りたいんだっ」


「なら、お願い」


「…うんっ」




俺の返答に満足したのか、泉が嬉しそうに頷いた。



「…なあ、泉?」


「何?」


「…話したいことあるんだけど、いいかな」


「……………話したい、こと…?」