美佳から。

あの日貰ったネックレスだった。




大方、麻酔をした時に外してポケットに入れたんだろう。


その、久しぶりに触るネックレスに。

俺は涙が止まらなかった。



美佳に連絡取らないと。


そう、思って携帯を充電しながら電源をつける。



支払いをしていなかったから、携帯は止められていた。


止められる前に届いたメールを俺は一つ一つ見ていった。






客からのメール。

聖。

社長。



美佳…。



迷うことなく、美佳にカーソルを合わせた。



【伊織。
少しの間、さよならね。
伊織は何も心配しないでいいからね。】



…………




「………俺の」



俺の所為なのに。


美佳は俺を一言も責めなかった。



【伊織、逃げろ】

社長のメール。


【伊織、今どこにいるの?】


聖からのメール。




…………誰、一人。




俺を責めなかった。