それから俺はまた、たんぽぽ院で過ごした。


夕飯の買い出しに行くのは決まって、俺の役目になった。


それからバイトもした。
お金がなくなった俺は、鈴恵さんの負担になりたくなくてコンビニで働いた。


そのお金を貯めて、バイクを買うと決めて。



昔なら、ぽんと現金一括で出せた。
価値なんかわからなくなっていた。


今、働いてひしひしとお金の有り難みがわかる。



あんな、どぶ底に捨てるような真似ばかり。



もう、二度としない。



俺は、もう、普通に生きるんだ。



独りで死んだって、もういい。


それでもいいから、普通に生きたい。



それから美佳のメールに気付いたのは、俺がたんぽぽ院に来て一ヶ月もした後だった。




自分の部屋の片付けをしていた時、あの日着ていた上着が目に入った。

久しぶりに触る。




………そういえば、携帯入れっぱなしだ。
すっかり携帯の存在を忘れていた俺はポケットを探る。



と。




出てきたのは、携帯ではなくて。