レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「さっき会ったのりの両親は不慮の事故で亡くなってしまったの。
だけど、のりは笑うのよ。
凄くいい笑顔で。

そんな子が可哀想だなんて思えないでしょう?」


「……はい」


「今を一生懸命生きている子を可哀想だなんて切り捨てるのは、傲慢な大人の考えよ。
自然と見下すようなら、私はこのたんぽぽ院で働いて欲しいと思わなかった」


「っっ!」


「でも、泉さんはわかってくれたのね…」


「……………」


「今人手足りないから、もしも卒業したならうちに来てくれるかしら?」


「っ、いいんですか…?」


突然のことに信じられず、聞き直す。

だけど、鈴恵さんはにっこりと笑って


「もちろんよ」


そう言った。



「……っ!ありがとう、ございますっ」



嬉しくて涙が滲む。


たんぽぽ院で働ける。
それ以上に、鈴恵さんの下で働けることが何より嬉しかった。



ぎゅっと拳を作って、涙を我慢してる私に鈴恵さんは話しだした。




「…実はね、前に泉さんが来てくれた時には本当に人手が足りてたのよ」


「…え?」