「久しぶりね、本当。
最初綺麗になってたからわからなかったわ」


ふふっと笑いながら言う鈴恵さんに、私はあたふたしながら否定する。



「きっ、綺麗だなんて…」


「あら、本当よ?
色々な経験が女を綺麗にさせていくの。
泉さん、色々あったんでしょう」


「……っ」



鈴恵さんは本当、凄い。

鋭い。



「今日はどうかしたのかしら」


「あっ、あの、私大学来年卒業するんです」


「そうなの?おめでとう」


「それで…ここで働きたくて…だけど、その前に答えを言わなきゃいけないと思って」


「答え?」


「はい、可哀想に思うかどうかの答えです」


「……そうね、答えは出たのかしら?」



私は鈴恵さんの言葉にゆっくりと頷いた。

私なりの、私が思った答えを言うんだ。




もう、可哀想だなんて思わない。

だって。


子供たちは、聖は、伊織は。


今を生きている。



一生懸命に。



「…私、平凡なんです」


「え?」


「家族も、生き方も、何もかも。
平凡で普通なんです」



黙ったまま、鈴恵さんは私を見つめる。