レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

翌日。

俺は予定通り、待ち合わせ場所まで向かうとそこで相手を待った。

初めての、彼女。


好きなんて感情、持ち合わせてないらしい俺は今まで彼女なんていなかった。

告白は何度かされたことあるけど。


「…おっせえな」

待ち合わせは昼の二時。
だけど、もう十分待ちぼうけだ。


今日の相手は京子、28歳、有名な音楽家らしい。

作曲をしたり、歌は歌ってないけどヒット曲の影には彼女がいると言われるほど、らしい。


………そんなこと知らねえけど。


希望は甘えてくる彼氏。


「貴方が伊織?」


突然目の前に現れた女はサングラスをかけたまま、俺を見るとそう言った。


「………京子、さん?」


「そう、京子でいいわ。
行きましょ」


おい、遅刻したのに何もなし?
金持ちってこうなわけ?


イラっとしながら俺は先に歩く彼女の後ろをついて歩いた。



「…………………」


「……………」



続く沈黙。


………どうしたらいいのか。