レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「……まあ、何かあったら力になれるかわからないけど言ってよ」


「………ああ、うん」


虚ろに返事をすると、俺は携帯を閉じた。


そして携帯をベッドに投げると、首のガーゼを剥がした。
恐る恐る触ると、何か傷痕があった。


触れる度にチクチクと痛みが走る。

だけど、これは縫った傷痕ではないだろうか。


触った感触がそうだった。


背筋がぞくりとする。


本当に俺は。




二度と戻れないような気がした。



一生、普通の人間には。





放り投げた携帯から、さっきもらったメモを見て佐々木の番号にかける。

翌日の仕事相手のことや、内容、時間などこと細かく聞いて電話を切った。



…………キャバのボーイで色をしてたりもした。
それなりの経験はある。

不特定多数を相手にしてたわけではないけど。


きっといけるはずだ。

拳を強く握りしめると、俺はベッドに横になった。

明日の初仕事の為に早く寝よう。
俺なりの仕事をしよう。



そう思い、眠りについた。