レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

やけに綺麗な携帯が俺の手の中でずっと震えていた。

知らない番号。
ひっきりなしに鳴る。

この携帯の持ち主が、他の奴の携帯からかけてるのかもしれない。


一応、出るか。


「……もしもし」


「あーっ、やっと出た!」


キンキンと耳元で鳴る甲高い声。
………あれ?この声。


「…美佳?」


「そうだよ、社長から番号聞いたからずっとかけてたの!出ないから心配したよ」


「………番号?は?何の話?」

いや、これ俺の携帯じゃないし、誰かと間違えてる?


「伊織の携帯でしょーが」


「いや、違うし」


「違くないし!佐々木から聞かなかった?携帯渡されたんだよ」


「………………」


知らねーし。
初耳だわ。


「まっ、いいや。
とりあえず私の番号だから、登録しといてー!」


「…うん」


「それにしても丸一日も寝てたわけ?」


「丸一日?」


「そー、連れてかれてから一日経ったんだよ」


「はあっ?まじかよ?!」



丸一日も寝てたって、余程のことをされたんじゃねえの?

思わず首にあるガーゼに手を伸ばした。