レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

佐々木はぺこっとお辞儀をすると部屋から出て行った。


静まりかえる部屋。


…まだ、実感が沸かない。

月、二千万。


給料日になったら嫌というほど実感するのだろうか。

とりあえず、明日から仕事か。
何をしたらいいのかもわからねえじゃないか。


時間は、待ち合わせは。


……くそ、何も聞かなかったわ。


携帯も持ってねえし。
両手で髪の毛をぐしゃぐしゃとすると、俺は顔を覆った。



展開が早すぎてついてけねえ。

なんだよ、レンタル彼氏って。



わけ、わかんねーよ。


ピルルルル……



ピルルルル………



「…………ん?」



ぴたっと動きを止めると、覆った手をどかして耳を澄ませた。



ピルルルル……


…携帯が鳴ってる?

………俺、か?



その音のする方を探す。



寝室からそれは聞こえた。
捲れた布団を探ると、そこには携帯が置いてあった。


気付かなかったな、さっき。



それにしても、これは誰のだ。