レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

わけがわからずに辺りを見渡す。
知らない、部屋だ。


どでかいダブルベッド。
白と黒を基調にした部屋。


……さっきの殺風景な事務所、みたいな。


ベッド脇にあった机に視線を落とすと、ファイルが置いてあった。

それを手にとり、俺は中に入っていた何枚もの紙に目を通した。


そこにあったのは、レンタル彼氏の形態。

簡単なマニュアル。
寮について。
給料について。

などが書かれていた。



……そうか。

もう、俺はここで働かなきゃいけないのか。


使い物にならなくなるその日まで。


……まあ、でも戻る家もある。
ここには俺を邪魔するモノはない。




そう考えたら。


いい環境なのかもしれない。



ファイルに紙を戻すと、俺はそれを置いてあった場所に戻す。


ベッドから降りて大きく伸びをすると、インターホンが鳴った。


「…………?」


誰だ?

玄関まで行き、鍵を開けるとそこにいたのは佐々木だった。