レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

いかにも頭がよさそうな見た目の男は、ぎりっと奥歯を噛みしめていた。

エリートか、なんか納得だけどバカらしくなったってなんだろう。


「千里、世間の女がお前にしたことはなんだった?
それによって受けた傷はどうしたんだ」


「…………」


この中で一番身長が高い男が黙って俯く。

すげえ男前だな。
女、になにされたのだろうか。


「聖、探したい人がいるんじゃなかったのか?
その為には金が必要だろう」


「……………」


俺の隣にいた男は髪の毛をくしゃっとする。

探したい人。
誰なのだろう。


最後に社長は俺を見た。


「…伊織。
お前に帰る家はないだろう。
全て上と話をしたのは、この私だ」


「っ?!」


社長の言葉に目を見開いた。


確かに、帰る家なんか……ない。


それはわかっている。
だから、俺はこの話を断るつもりなんかなかった。




………まさか、俺が起こした事件を解決させたのは…この、おっさんだったなんて。



…………なあ。




もう、この世の中はなにもかもが狂ってるよ。