レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

急なことに皆呆気にとられているようだった。


「…行くところ、お前らにあるのか?」


社長がそう低い声を出すと、皆はハッとして押し黙った。

それを見て俺は直感した。


……皆、何かあるのだと。


「ちょっと待ってくれよ、割りのいいバイトがあるからっておっさんに聞いて来たけど、いきなり住めだの、レンタル彼氏だの、意味わからねえんだけど」


「そもそもレンタル彼氏って何?」

次々に不満が溢れては止まらない。

社長はそんなことも想定していたのだろう。
急に大声で笑いだした。



その声に皆が一斉に静かになる。


「吏紀、族をやって何度もパクられるのを繰り返して世間はどうだ?
お前が働ける環境はあったか?」


「…………」


一番奥にいた猫みたいな可愛い顔をしてる男に向かって言った。

暴走族だったんだ。
見えないな。

ちらっと見ながらそう思った。


社長はそれから吏紀の隣にいた男に視線をうつす。


「誠、エリートで進んで来て入った場所はどうだった?
なにもかもがバカらしくなかったのか?」


「……………」