突然、俺は後ろから誰かに羽交い締めにされる。


「なっ、誰だよっ?!」


そのまま、俺は目の前に来た男に鳩尾を殴られ意識を失った。
それはあっという間の出来事だった。

気付いた時には病院のベッドにいた。


目だけしか動かない。
体が物凄く、だるい。

ぼやける視界の端に写ったのはりさだった。


「り、さ」


そう声をかける。
俺に気付いたりさが俺の隣に座った。

それから笑顔を浮かべて話す。


「起きた?」


「……ど、うい、こ」


「あ、まだ喋らないで。麻酔効いてるから」


「……ま、すい?」


「……ごめんね、いきなり」


「………?」

意味がわからない。
いきなりすぎて。

何もかもがわからない。


「……これ、取りたかったの」


そう、言って俺に見せたモノはチップだった。


「……………ち、ぷ」


「……これがなかったら…伊織、自由になれるでしょう?」


「……は?」

会話をしたことで、段々と意識がはっきりしてくる。
だけど、体は動かない。


「私が解放してあげる」


何を、言ってるんだ?

意味が、わからない。


「まだ、伊織は寝ててね」


そう言って、俺に微笑んだ。