美佳が俺を家族だと思っている。
この事実だけで、俺は笑える気がした。
もう、何かを望まないと思っていた俺へ舞い降りた思いがけない報せなのだから。
その日から俺は、仕事にもやる気が出て、めきめきと業務をこなした。
その態度が認められて、今に至る。
認めてもらって、仕事をして。
たまに来る美佳の手紙を読んで。
それだけで幸せだった。
些細な幸せが、これほど幸せだなんて。
あの頃の俺は気付けなかった。
堕ちていくことが、大人になることと。
履き違えていたあの時には。
もし。
今の俺があの時に戻ったとしても。
また、“あの”選択をするのだろうか。
自分の実の父親を、犯罪者に祭り上げる選択を。
あんな、悪魔に心を売り渡したような選択を。
この事実だけで、俺は笑える気がした。
もう、何かを望まないと思っていた俺へ舞い降りた思いがけない報せなのだから。
その日から俺は、仕事にもやる気が出て、めきめきと業務をこなした。
その態度が認められて、今に至る。
認めてもらって、仕事をして。
たまに来る美佳の手紙を読んで。
それだけで幸せだった。
些細な幸せが、これほど幸せだなんて。
あの頃の俺は気付けなかった。
堕ちていくことが、大人になることと。
履き違えていたあの時には。
もし。
今の俺があの時に戻ったとしても。
また、“あの”選択をするのだろうか。
自分の実の父親を、犯罪者に祭り上げる選択を。
あんな、悪魔に心を売り渡したような選択を。



