あの日。
りさの様子がおかしかったことには気付いていた。

やっと、一ヶ月が過ぎて次の客がりさだった。
珍しく、りさが間を空けずに予約していたなあと思ったんだ。


「りさ、今日どこ行く?」

いつも通り、国産車で迎えに行く。
助手席に乗り込んだりさに俺は尋ねた。


「………行きたいとこあるから…いい?」

ぼそっと小声で話すりさ。
心なしか、りさの顔が少し青い。

体調悪いのかな?


「わかった、けど大丈夫?」


「な、何が?」


「なんか、具合悪そう」


「…平気」


「そう?じゃあ、ナビってね」


「………うん」

普段と様子違うけど。
本人が平気って言ってるから大丈夫か。

不思議に思いながらも、俺は車を発進させた。


りさが曲がり角になると口頭で案内する。
俺はそれに倣って車を走らせた。


そして、たどり着いた場所は病院だった。


「…………病院?」


「そう」


「…りさ、そんな悪い?」


「来てくれる?」


「ああ、もちろん」


そう、言って俺は車を降りた。

りさの方へ行こうとしたのも束の間。