それを見て俺は目を見張った。
「……それっ……」
続きの言葉が出なかった。
「大切に取っておいたのよ」
「使って…なかったんだ」
「使えるわけないじゃない。
これは伊織が稼いだモノよ。
母親としてはそんなお金使えない」
鈴恵さんの手にあったのは、過去、ここを母親と共に出た時に手渡したモノ。
――――………退職金と言う名の手切れ金。
「稼いで、なんかない」
震えながら言う俺の前まで近付き、鈴恵さんは俺の手を取ってその封筒を握らせた。
くしゃっと、その封筒を握る。
その封筒は、昔のまんまで。
それが俺の涙腺を刺激する。
「どっちにしろ、これは伊織が手にしたお金よ。
いつか、必要になるかと思ってね」
「………………っ」
やっぱり。
俺は鈴恵さんには適わない。
「伊織、お金に綺麗も汚いもないのよ」
「………」
「…寄付をするなら、伊織が胸を張ってしなさい。
それが伊織の為になる」
「…………うん」
鈴恵さんの言葉に頷くことしか出来ない。
「……それっ……」
続きの言葉が出なかった。
「大切に取っておいたのよ」
「使って…なかったんだ」
「使えるわけないじゃない。
これは伊織が稼いだモノよ。
母親としてはそんなお金使えない」
鈴恵さんの手にあったのは、過去、ここを母親と共に出た時に手渡したモノ。
――――………退職金と言う名の手切れ金。
「稼いで、なんかない」
震えながら言う俺の前まで近付き、鈴恵さんは俺の手を取ってその封筒を握らせた。
くしゃっと、その封筒を握る。
その封筒は、昔のまんまで。
それが俺の涙腺を刺激する。
「どっちにしろ、これは伊織が手にしたお金よ。
いつか、必要になるかと思ってね」
「………………っ」
やっぱり。
俺は鈴恵さんには適わない。
「伊織、お金に綺麗も汚いもないのよ」
「………」
「…寄付をするなら、伊織が胸を張ってしなさい。
それが伊織の為になる」
「…………うん」
鈴恵さんの言葉に頷くことしか出来ない。



