レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

「でも、本当に私じゃなかったかもしれないじゃん」


「うん、だから写メ撮ったの」


「え?」


「彼女の写メって言って、泉の写メ送った。
伊織、動揺したんだろうね。返事来なかったよ」


またくくっと笑う。
あの、写メにそんな意味があったんだ。


「毎日毎日ね、嫌がらせのように泉の写メ送ってあげたんだよ。
会いたいと焦がれていた女が友人の彼女だなんて…どう思うだろうね」


「…………そんな」


「……泉と再会した時に、抱き締めることも出来ないんだよ。
気持ちを告げることも」


……胸が苦しくなって、ぼろぼろと涙が流れる。
解放された手で、何度も何度も拭う。


「………酔っ払って、うちで寝てたあの日。
伊織、うちに来てたんだよ」


「…………………」


うちに来てた…?

って、どういうこと…?


「……彼女来てるって言ったらあからさまに動揺してるから、わざと二人きりにしてやったの」


「……………」

眠っていた、あの短い間に。

伊織と?



「…まあ、伊織は逃げ出しちゃったけどね」