レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

何も、言えないよ。

だって、伊織は悪くないなんて……言えない。
聖だけを責めることも出来ない。


「一番、伊織にダメージ与えられるのはなんだろうって考えた時ね、泉って名前の女だった」


「…………私?」


「……伊織が唯一、愛した…いや、愛してる女」


「……………っ」


愛してる、女…?

ぎゅうっと手を握りしめる。


「名前は美佳から聞いた。
言う気はなかったんだろうけど、美佳おっちょこちょいだからさ。
ぽろっと名前出しちゃってそれを思い出したの」


その様子を思い出しながら、懐かしむように微笑む。


「その泉を調べたんだ。
でも、全くわかんなかった。
だから、泉って名前の女片っ端から探した」


「………片っ端……?」


「そう、この街に住んでる泉を何人も探したんだ。
で、伊織の名前を出すの」



それに反応した人が……泉ってことなの?


なんて、途方もないの。


だけど、出会ってしまったんだ。




私と聖は。




そして、伊織を傷付けたんだ。