それに聖はぶーぶー言うと、それに割り込んで学が

「…俺も甘い物、ちょっとパス」

そう言った。

聖は一瞬固まると、今度は学に食い付いていた。

そんな聖を呆れた顔で見る私に尚子が尋ねるように呟く。

「…カラオケにしとくか」


「そうだね」

尚子と二人で勝手に納得して、そそくさと帰る準備を始めた。

まだぎゃーぎゃー言う聖と学を置いて、先に尚子と歩く。


すぐ気付いた二人が慌てて追いかけて来た。


「何で追いてくのっ」


「え、学と仲良かったじゃん」


「今日の泉、Sだあ~」


「はははっ」


笑いながら、いつものカラオケBOXに行って、いつもの様に歌う。

それから、ファミレスに入って喋って帰宅する。
自転車の時は聖が送ってくれる。


そんな、お決まりの毎日。





なのに。





急に聖が姿を見せなくなった。

理由は、分からない。


知らないけど、忽然と姿を消した。


連絡も取れない。
バイトも辞めたらしい。


すぐに姿を見せるだろうと高をくくっていた私は、然程気にしていなかった。