レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

その日を境に、俺はちょくちょくその夢を見るようになった。




決まって、寝起きは最悪。
汗、びっしょりだし。
九月に入って、熱帯夜もなくなって過ごしやすかったのに。


仕舞いには泣いていた時もあるほど。


聖から新しく送られてくる、泉の写メはもう開かなかった。
写メがついてるメールは全て消した。



泉を、忘れなきゃいけない。

もう、苦しい思いはこりごりだ。



そう、決意した日が。


聖と会う前日だった。




そう、決めた翌朝はその夢を見ることなく、昔みたくアラームに起こされた。

美佳と会うのは四時だったけど、起きたのは六時半。
鈴恵さんの手伝いをしたりして、俺は出かける準備をした。



「鈴恵さん」

取り込んだ洗濯物を畳んでいる鈴恵さんに声をかける。
鈴恵さんは、畳んでいた手を止めると俺を見上げた。


「出かけてくるね」


「はい、行ってらっしゃい」


「今日、帰り遅くなるから寝てていいよ。
それにご飯も食べて来ると思う」


「わかったわ、あまり遅くならないようにね」


「ぶっ、俺もう二十歳越えてるし」


「そうね、伊織は立派な男の子だものね」