よろよろと動きながら玄関まで歩く俊也。
覗き口から誰が訪ねてきたのか見る。


しかし覗き口には誰もいない。
見えるのは玄関前の真っ白な壁。

『なんだぁ…?いたずらか?』
鍵を開け、ドアノブに手をかけドアを開けてみる。
しかしやはり誰もいない。外の冷たい空気が少しだけ開けた隙間から室内に忍び込んでくるだけ。

『……っだる!!』
ドアをすぐに閉めて腕を組みながら床に倒れ込む。


『ぜってぇ犯人捕まえちゃる。っざけんな!!』

俊也が大声を出した瞬間隣の家が壁をドン!!
と叩いてきた。


俊也は壁側を向き
すいませんと言ってぺこりと頭を下げ
ぶつぶつ言いながら布団もない床に寝ころび
持ってきていたスカジャンを布団代わりにして目をゆっくり閉じた。