覗き口

『今大阪に着いたで。』


『…まぢで!?お前連絡もなしとホンマに大阪にいったん!?俺らはそんな仲か!!』


俊也はタケになにも告げずに大阪にきていた。
何故ならタケは既に自動車整備士の就職についていて
ずっと高校時代一緒にいた間柄としてこいつは俺が大阪に行くことをしったら付いてくるって言うのをわかっていた。


『ああ。わかっとるわ。でも俺の夢にお前を巻き込むわけにはいかんがな。お前の夢はディーラーになることやん。そんなんいえまぁ。』



黙り込むタケ。
少しも相談なしだったのはちょっと冷たかったかな……?


『わかった。なんかあったら相談せえよ!!じゃなかったら縁切るけぇな!!わかったな!!』



…これが友達…
えぇもんじゃな。


『おぉ。じゃ一日十回は連絡しちゃるが。』



『……悲しいな。野郎二人が互いの傷舐め合ってんの。』



たった一人ぼっちの何もない、何もすることがない家なのに
長い夜はタケとの電話でふけていった。