覗き口

何もない6畳半のフローリング式のリビングはとても広く
外から聞こえる原付のエンジン音が部屋に残響した。

リビングのちょうど中心に立ち荷物を一気にドサッと下に下ろす。

そしてギターケースからGibsonのレスポールとピックを取り出し静かに弦に当てて曲を奏で始めた俊也。

これから色々しなきゃ。アルバイト探しや周りの地理の把握。
あとバンドメンバー探し。

ギターを弾き終えた後ポケットからケータイを取り出して電話帳からある男に電話をかけた。


♪♪…ガチャ
『あ゛い。』


電話の向こうから聞こえる
鈍くて低い男の声。
『タケか?』


その相手は高校の時に友達になって
一緒に文化祭とかでライブをやったタケノリだった。


『お前何時じゃと思っとんなら。夜の11時じゃで。ありえまぁ。』


タケは寝てたらしくとても機嫌悪そうに電話に出た。