今からちょうど一年前。
春。
栃木 俊也は高校を卒業したとともに大阪にいた。

boloid[ボロイド]の音楽が
俺を大阪に駆り立てた。
俊也はそう思っていた。
高校の時からロックに目覚めてただひたすら音楽を聴き漁っていたあの頃。
その時に出会ったのが
doloidの禍々しいジャケットのシングルCDだった。

そのCDを聴き俊也は衝撃を受けた。


なんて荒々しいメロディーに
心にストレートにくる歌詞なんだ、と。
それからどんどんdoloidにのめり込み
心からdoloidを崇拝するようになっていた俊也。


そして知る彼らの売れなかったストリートライブ時代の話し。

人通りが多い心斎橋前で
邪魔だ
うるさいと罵られようと必死に音楽を奏で続けた彼らの信念。


そしてそこで一人の音楽会社の人に目をつけられ

今じゃ熱狂的ファンを何万人ももつ超人気ロックバンドとなった。



俺もこうなりたい。
doloidと同じ
心斎橋で路上ライブして同じようにデビューして絶対ビッグになってやる。
熱い心差しを持って
俊也は
岡山からここ新大阪駅に立っていた。