沙良ちゃんと光聖くんは小走りでお化け屋敷へと入っていった。
私は近くにベンチがあるのを見つけ、そこで待ってようとベンチに向かって歩き始めた……その時、暁に突然腕を掴まれ、動きを止められた。
「な、なに……?」
「誰が行かねぇっつったよ」
「だって……暁ってこういう系絶対めんどくさい人でしょ?」
「よく分かってんじゃん」
ニヤッと笑う暁に、思わず心の中で「いや当たってるのかよ!」とツッコんでしまった。
でも、めんどくさいなら、それこそお化け屋敷には入りたくないはずなのに、何で引き止めたの……?
「無料券、欲しいんじゃねぇの?」
「欲しいか欲しくないかって言ったら、そりゃあクレープ好きだから欲しいけど……」
「なら早くしろよ」
「えっ……?!」
腕を掴まれたまま引っ張られ、私は暁に誘導され、気づけばお化け屋敷の入り口にいた。



