「あざ、なくなったな」
「……あ、あぁ!あざね!」
暁にそう言われて今思い出した。
すっかり腕のあざのこと忘れてた……。
暁に掴まれたままの腕を確認すると、この前あざがあった位置に何もなかった。
「おまえ、忘れてただろ」
「え……な、何が?」
「一応、女なんだから気にしろ」
「……はい」
そっと私の腕から暁の手が離れた。
……寂しい気持ちと同時に、私の腕のあざのことを気にしてくれていたんだと知り、今まで感じたことのない感情が出てきた。
どうしよう、どうしよう。
男性恐怖症なはずなのに、今、暁にものすごく触れたいと思ってる自分がいる……。
これは完全に、私が暁のことを好きだからなのかな。
「すみませーん!みなさんって、カップル同士ですか?」
……1人で周りも気にせず考え込みそうになる前に、いいタイミングで誰かが声をかけてくれたため助かった。



