「その子には触らないで!」



沙良ちゃんのその声に、男の動きは止まった。



沙良ちゃんは自分の方が危ない状況なのに、こんな時にまで私のことを心配してくれてる。



私は………私は………。



脳裏によみがえる、思い出したくない………記憶。



泣いても泣いても、誰もいなかった。

助けを呼んでも、その声は誰にも届かなかった。



あの日から私は………"男"が怖くなった。



男たちの下品な笑い声。



沙良ちゃんが抵抗するたびに、それを面白がるように笑った。



「お兄さんが、優しく教えてあげるね」



私の隣に座る男はニヤッと笑って、今度は手が近づいてくるのが分かった。



過呼吸になり、抵抗することもできない私は、男がシャツに触れても何もすることができなかった……。



……そんな中、突如、乱暴に開けられたドア。



動きが止まる男たち。



部屋の入り口には……悪魔が、いた。