「こいつじゃなくて心優ね。暁がサボってる間にここに転校してきたの」
沙良ちゃんはわざわざ私のことを説明してくれた。
「それより邪魔」
けど、悪魔にとってそんなことはどうでもいいようで、声の低さで苛立っているのが分かる。
私は面倒なことは嫌だから、何も言わずに自分の荷物を持って隣の席へと移動した。
「ちょっと、心優がこんなやつのためにどかなくてもいいのに」
「いいの。私どこの席でも大丈夫だから」
すると、沙良ちゃんは自分の隣の席の男子に「あたしと席変えて!」と言って、半端無理矢理、私の前の席へと移動してきた。
「これで話せるね!」
「うんっ」
私のために移動してきてくれた沙良ちゃんに、恥ずかしくて言えないから、心の中で「ありがとう」と呟いた。



