背もたれがあるためそれ以上は後ろに下がることができず、私は目をギュッと強くつぶった。



……すると、隣にいたはずの暁がいつの間にか不良の方へと移動していて、暁が不良の胸ぐらを掴んでバスの中央のドアへと思いっきり押し当てた。



ドンっという大きな音に、前に乗っていた他のお客さんも振り返ってこちらを見てきた。



……どうしよう、どうしよう。



「てめぇがどこの誰か知らねぇけど、俺の女に触ったらマジで地獄に落とすぞ。外も歩けねぇ顔にして手足も使えねぇようにしてやるよ」

「……」

「守るもんもないてめぇらにはクソみたいなケンカする毎日がお似合いだから、俺の知らねぇところで勝手に殴り合ってろ」

「……わっ、かったから……っ、は、なせ……っ」