暁の肩越しにチラッと見えた不良の顔。
……え……待って……。
見覚えのある顔に、緊張が走る。
今、鮮明にあの日の出来事が頭に浮かぶ。
……私の腕をロープで縛り、おとりにしてお兄ちゃんたちをおびきよせた。
私のことを連れ去った……不良だ。
特徴的な細いつり目を覚えていた。
忘れたくても、忘れられなかった顔……。
「お前最近、暴れてないらしいじゃん?なに、この女のせい?」
その不良はわざわざ私の前まで来て、私の顔を覗き込んだ。
「めちゃくちゃ可愛いじゃん。ちょっと、俺とも遊んでよー」
最低な性格は今も変わってないらしい。
……不思議と、怖いというよりは怒りが込み上げてきた。