バスの真ん中の入り口近くの2人席に私と暁は座った。
その後ろにゲラゲラ笑って騒ぐ不良たちがいて、私は暁に身を寄せるようにして気持ちを落ち着かせた。
……やっぱり大勢でいられると、まだ拒否反応が出てしまう。
「……あれ?お前もしかして、元〇〇中の暁?」
後ろからそんな声が聞こえたと思ったら……その声の主は通路を挟んで隣の2人席へと座った。
暁が通路側にいてくれて本当によかった。
「そうだけど、誰ですか?」
「あー俺は別にいいんだよ。ただ、俺が一方的にお前がケンカ強いの知ってるって話。相変わらず身体でけぇなぁ」
……暁は知らないのに、暁のことを知ってるって人が今までにも何人かいて……それくらい、悪いことをしてた暁は強かったんだなと思う。



