日が照り蒸し暑い日が続く……高校2年生のある夏の日。



高校はあと3週間で夏休みに入る。



そんな学生が1番楽しい時期で、私は1つの節目を迎えようとしていた。



職員室の前である人を待っていると、誰かが早歩きでこちらに向かってきた。



「お前が浅沼 心優(あさぬま みゆう)?」


「はい、そうです……」


「お、1年間よろしくな!俺が担任だから!ちなみに創史(そうし)って呼び捨てでいいよ」


「はぁ……」



黒い短髪で見た目は若そうな男の人。

終始ニコニコしていて、悪い人ではないなと直感で思った。



そう、こんな中途半端な時期に、まさかの転校。



ついこの間までは、県内で有名な進学校に通っていたんだけど、ママの突然の再婚で転校しなくちゃいけないことになってしまった。



だけど、不思議と肩の荷が降りた気がした。

進学校ということもあり、みんな勉強への意欲が強くて、内申ギリギリで受かった私は、そのレベルについていくのに必死だった。



初めての高校生活は想像したようなキラキラしているものじゃなく、帰ってからも宿題に追われ、常に気を張っていた。



そんな生活から抜け出すことができたのは、再婚を決めてくれたママのおかげ。



………そんなことを考えていると、担任の創史が突然耳打ちしてきた。