沙良ちゃんは私の目の前に来て、私の両手を握り真っ直ぐと見つめてきた。



沙良ちゃんの瞳はカラーコンタクトを入れているからか、鮮やかなグレーで、私にはあまりにもキラキラしていて、思わず吸い込まれそうになってしまった。



「心優が話せるならで全然いいんだけど……過去に何かあったの?」

「……」

「ごめん。今日会ったばっかりの、しかもこんなやつに話したくないよね」

「……」

「実はね、あたしも実の父親に暴力振るわれてたことがあったから、たまに男の人が怖くなる時があるの。だから、心優のこと他人事とは思えなくて……」



私の手を握る沙良ちゃんの手は温かくて……さっきまでの冷たかった心も温かくなるような気がした。



沙良ちゃんの言葉ひとつひとつで、少し楽になった。

同じではないけれど、男の人に対するトラウマを抱えている沙良ちゃんなら、話しても受け止めてくれるかもしれない。