忘れようと何度も努力した。 忘れてしまえば楽だって分かったから。 けど………忘れられなかった。 忘れようとすればするほど、さらにその記憶は私の中に染み付いた。 「やめて!」 私は、とっさにそう叫んでいた。 私の腕を掴んだ人は………その声に反応して、すぐに手を離した。 光聖くんも、周りにいる不良たちもその声に驚いた様子で、みんなの視線が私に集中していることに耐えられなくなった。 今の私には周りがどうとか考えられる余裕はなく………教室を飛び出し廊下を走っていた。