突然の出来事に、握られた手のひらに全神経が集中する。
「喧嘩は……ダメだよ。絶対にダメ」
「あぁ」
「……遅刻も、もうダメだからね」
「分かってる」
自分の家までの帰り道。
高校からも駅からも家までは歩ける距離だけど、パパとママからなるべく危険に遭わないようにと、1人のときはバスを使いなさいと言われていた。
沙良ちゃんと帰るときは、途中で違う道を行くため、そこからバスを使って家に帰っていた。
……こうして暁と並んでいると、今までの道が違って見える。
普段は男の人とすれ違うだけでも身体がこわばってしまい、どんな道でどんな建物があるのかなんて見ることもできなかった。
でも、暁が隣にいるだけで……不思議と顔を上げて歩くことができてる。
あぁ……こういう道だったんだ……。
小さなパン屋さん、おそば屋さん……今まで視界に入ることがなかったものが私の目に次々と飛び込んでくる。



