「いつもありがとうございます。またよろしくお願いします」
常連さんということもあり、沙良ちゃんはそのお客さんに向かって会釈した。
すると、そのお客さんは急に沙良ちゃんの腕を掴んできてニヤッと笑ったという。
「僕ね、君のこと待ってたんだ。君も、僕のこと好きだよね?」
お客さんは自身ありげにそう言ってきた。
怖くなった沙良ちゃんは「人違いじゃないですか?」「離してください」と抵抗したものの……女の力で勝てるはずもなく。
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ。とりあえず、僕の家で話そうか」
お客さんはそう言うと、沙良ちゃんの腕を掴んだまま引っ張り、助手席に無理矢理乗せようとしてきた。
「離せよっ!」
命の危険を感じた沙良ちゃんは力いっぱい叫んだ。
しかし、コンビニの駐車場にはお客さんと沙良ちゃんしかいなくて、元々一通りの少ない場所ということもあり、車も人もいなかった。



