今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。




私も恐る恐る教室全体を見渡してみた。



………すると、教室内のほとんどの人が私のことを見ていて、男子も女子も顔を赤らめていた。



「このクラスは全員、心優の本来の可愛さに気づいてしまったから、もう手遅れです。しょうがない」

「もう、平穏な日々は送れそうにないかなぁ」

「いや?私がそばにいれば大丈夫っしょ!変な野郎からは守ってあげる!」



きっと口に出したらただの嫌味にしか聞こえないだろうけど、真面目に自分のこの無駄な容姿を心底恨む。



自分が可愛くないと思えるほど鈍感で可愛い女の子になれたらと、どれほど思ったことか……。



しかし、育った環境はそんなに鈍感でいさせてくれるものではなかった。



小さい頃から、どこへ行っても可愛い可愛いと言われ、すれ違う人には二度見をされることも多々あった。



男兄弟のあとに生まれたたったひとりの女の子だったため、家族から大袈裟なほどお姫様扱いをされて育ってきた。



変な話、あの男性恐怖症になるきっかけの出来事がなかったら、とんでもない男をもてあそぶ性格の悪い小悪魔女子になっていたはず。