「なぁ、ちょっと知り合い乗っけてもいい?」



そう言われて断る理由もなく、とりあえずうなずいた。



車が向かったのはとある住宅街で、ピンク色で目立つ家の前に人が立っているのが遠くからでも分かった。



だんだん近づくにつれ、その人物の正体が明らかになっていった……。



待って、待って、待って……。



その知り合いってまさか……暁のこと?!



「暁と同じクラスなんだろ?助手席空いてねぇから後ろでいいよな?」

「……あ、うん……」



暁の目の前で止まるや否や、まー兄はそう言って助手席の窓を開け、外にいる暁に向かって「後ろ座って」と言った。



ちょっと、ちょっと、さっきまで妹を心配する優しいお兄ちゃんはどこに行っちゃったの?



奇跡的に暁には拒否反応が出ないから隣に座ってても大丈夫だけど……そのことをまー兄は知らないのに、強制的に暁を私の隣に座らせた。



これも男性恐怖症を克服するための優しさ……?



だとしても、ドSすぎるよ……。