カラカラと引き戸を開ける。

「鈴木只今戻りましたのです、はい」

靴を脱ぎ、軽やかなステップで廊下を歩く。

「奥方、ご注文のグレープフルーツを買って参りましたのです、酸っぱくてサッパリして、きっと美味しく召し上がれると…」

「いらない」

「はい」

部屋の襖を開けるよりも早く返ってきた返答に、鈴木さん素早く白旗。