「まさか…!」
瑠都がねずみ達を呼ぶ。
しかしその呼びかけに答えたのは、わずか二匹だった。加えて、その二匹はひどく怯えている。
「あら、二匹集まりましたか。その子達は勇敢ですね」
「お前…何したんだ…」
「詳しくはその子達に聞いてみたらいかがですか?」
瑠都は宮原さんを睨みつけてからねずみたちに優しく尋ねた。
ねずみ達は恐る恐る宮原さんの方を見ながら短く語り、即座にその場を離れる。
「なるほどな…怖がるわけだ…」
「何がわかったの?」
弥生の問いかけに瑠都は苦笑いを浮かべながら
「いまこの場には…人間じゃない奴がわんさかいて怖いってさ」
「人間じゃない…?それって…」
「幽霊…とかそこら辺でしょうね」
心の言葉に宮原さんはにっこり笑って、お見事ですと言った。
「私は育った環境が環境だからか、人で無いものとお話ができるんです」
「育った環境…?」
「神社ですよ」
にこりと弥生に微笑む。
「これでわかったでしょう?さっき内田心先輩に『どこまで聞こえるのか』と聞いたあれは、距離を聞いていたのではありません」
「…距離じゃなくて対象。人じゃないものの心の声も聞こえるかってことだったのね」
「ええ。ここが古い館で助かりました。そういうところには幽霊などのコミュニティが形成されていたりするので」
パチンと宮原さんが指をならすと、心が耳を押さえ出す。


