一方その頃、瑠都たちはというと…
「無線が壊れるなんて初めてだよな」
「連絡手段無いわね」
ノイズが漏れるイヤホンを見つめながら弥生がため息混じりに言う。
「俺は動物に協力を頼めば、相手の状況を知ることはできるけど…お互いの意思疎通は難しいな…」
「心の能力を使ったとしても聞こえるのは心の声だけで、これも意思疎通はできないしねー…」
二人はしばらく考えた後、とりあえず純と落ち合おうという意見に落ち着き、新入生の部屋へと足を進める。
「純いまどこにいるんだろう…下手に動いてないかな」
「あいつのことだからありえるな…」
そこで弥生は
「ね、純の心の声聞こえない?」
二人の後ろを黙ってついてきていた心にそう尋ねた。
「聞こうと思えば聞けるだろうけれど…それよりも今は新入生の心の声の方が大きくて上手く聞き取れないわ…。近くにいるわよ」
「流石ですね心さん」
声は階段から聞こえた。
「褒めてくれてありがとう、由音ちゃん」
「お久しぶりです皆さん。先程は落ち着いて挨拶できずに…」
「…本当に、速水の方が妹なんじゃねぇかって思う」
「瑠都に同意するわ」
ゆっくりと階段を下り、三人の目の前に立った由音は
「じゃあ、やりますか」
口元に小さく笑みを浮かべた。


