「でも残念でしたね。ここには見ての通り俺しかいませんし、俺は指輪を持ってません」
ほら、と両手を開いて私に向ける彼の指には、確かに何もついていなかった。
「隠し持ってたり…?」
「してませんしてません。絶対にしてません」
無邪気に笑う創介君はとても嘘をついているようには見えなかった。
「そっかぁ…」
その間にも耳元の無線から流れ出るのはノイズ音。
耐えかねて、ついにイヤホンを外す。
「あれ、外しちゃっていいんですか?」
「うん、なんか壊れちゃったみたいで、ろくにみんなと連絡できないし…いいや。ひとっ走りすればすぐ皆に会えるだろうし!」
「そうですか」
「じゃ、私いくね!打取さんに会いに行くから!」
手を振りながら後輩たちの部屋を出る。
創介君はにこやかに手を振りかえしてくれていた。
「…さて」
一人残った後輩達の部屋に声が響く。
「狙い通り無線は撃破。念のためもう少し出力あげるか…」
菊葉創介はどこに隠していたのかノートパソコンを取り出し、何やら打ち込む。
そして
「灯里?そろそろいいぞ」
『OK』
後輩達が本格的に動き出す。
ほら、と両手を開いて私に向ける彼の指には、確かに何もついていなかった。
「隠し持ってたり…?」
「してませんしてません。絶対にしてません」
無邪気に笑う創介君はとても嘘をついているようには見えなかった。
「そっかぁ…」
その間にも耳元の無線から流れ出るのはノイズ音。
耐えかねて、ついにイヤホンを外す。
「あれ、外しちゃっていいんですか?」
「うん、なんか壊れちゃったみたいで、ろくにみんなと連絡できないし…いいや。ひとっ走りすればすぐ皆に会えるだろうし!」
「そうですか」
「じゃ、私いくね!打取さんに会いに行くから!」
手を振りながら後輩たちの部屋を出る。
創介君はにこやかに手を振りかえしてくれていた。
「…さて」
一人残った後輩達の部屋に声が響く。
「狙い通り無線は撃破。念のためもう少し出力あげるか…」
菊葉創介はどこに隠していたのかノートパソコンを取り出し、何やら打ち込む。
そして
「灯里?そろそろいいぞ」
『OK』
後輩達が本格的に動き出す。


