右側に進んだ先にあった部屋に入った途端
「…さて、どうしましょうか」

心がお手上げと言った風にため息をつく。
それもそのはず。
私たちは相手の能力を一切知らないのだ。その上、こちらの能力は全て漏れている。

「まあ実力でねじ伏せるよ!」
「…お気楽ね」
「でもそうするしか無いんじゃない?」

アキレス腱を伸ばしながら言うと、心はそれもそうねと、またため息をついた。
そして、総監から受け取ったらしいBB弾入りの拳銃を握りしめる。

「…ウォーミングアップねぇ…」

心はそう呟いて準備体操を続ける私を見てから

「…はっ!?」
銃の照準を私に合わせた。

「よけられるわよね?」
「よけられますけど!!!嫌です!!」
「…チッ」

心は今までのものより数段大きくため息をついて、拳銃をしまった。
少しばかり寿命が縮んだ気がする。

「とりあえず、屋敷の間取りを調べよう」
瑠都がそう言い出し
「おーい!ちょっと出てきて力を貸してくれ!」
部屋中にその声を響き渡らせた。