1スタンプ


高校卒業してちょっとしてから、高1から付き合いってた彼女と別れた、
お互い別の道を選んでその道を突き進み会うことも減り関係が上手く行かなくなっていたせいか別れるとき、さみしくも、悲しくも無かった。
別れてから2ヶ月くらいたった頃俺の財布がパンパンになった、
彼女がいないから、自然と金が貯まっていく
そういや、『あいつ』に色々おごってやってたからな
と、ふと『あいつ』のことを思い出した。
そんなことを思い出したって俺の財布がパンパンじゃなくなるわけではないから、使わないカード類を捨てることにした。
整理していると、可愛らしいケーキ屋のスタンプカードがでてきた
あと1スタンプで全部たまる
全部たまるとケーキが1つタダになるらしい
だが、俺は甘いものは好きなほうではない、
むしろ、嫌いなぐらいだ
逆に『あいつ』は甘いもの好きだったけ、
またふと『あいつ』のことを思い出した。
そういえば、このケーキ屋『あいつ』とよく行ったケーキ屋だったな、
スタンプが、たまるたびキャッキャッしてたっけ
なぜか、急に胸がギュッと苦しくなった
そのことをごまかすように俺は
「カードもったいねーし、ケーキでも買いに行くか。」
と独り言を言った
久しぶりに来たケーキ屋は甘いクッキーの香りがしてなんだかホッとした
1つケーキを買って
貯まったスタンプでもう1つケーキを買って帰った
ケーキ屋で食べていけたが、
ケーキ屋にいたらなんだか涙がでそうになる気がして逃げるように帰った
ケーキの箱を家で開けると、2つとも適当に決めたつもりだったが、2つとも『あいつ』が好きだったショートケーキとイチゴのタルトだった
また、ギュッと胸が苦しくなった
2つのケーキを一気食いして、吐きそうになって涙目になった
そこから涙が止まらなくなって
自分が泣いているのがわかった
そしてやっと、『あいつ』と別れた事を後悔した
思いが通じた時のこと
デートした時のこと
喧嘩した時のこと
思い出したって
後悔したって意味ない事も分かっている、それでも涙が止まらなかった。