廊下側から数えて二列目、前から数えて三番目。

そこにわたしは座っていた。
窓際の席のように外が見えたり、
後ろの席のように居眠りが許されたり、
そんなメリットはない。
しかし、最前列で先生にノートを覗きこまれたりするデメリットもない。
まさに可もなく不可もなく、といった座席。

「はい、じゃあさっさと教科書の問2やって。人の写すなよ」
女子生徒にやたらと厳しいなことで有名な大島先生が、生徒へ怒鳴るように言う。


途端、斜め後ろから声がした。
「小池。」
わたしの名字を呼ぶ声に驚いて、顔をあげて振り返ろうとする