「いきなりすいません...」



「気にしないで～。うち突然の来客よく来るし、遥輝君もよく遊びに来るから。」



寮に戻らなくてはならない庄司君にマンガ喫茶に行くと言ったらダメ！と言われて無理やりここへ連れてこられた。



「やっぱり、私帰ります！」



「そんなことしたら遥輝に殴られるからやめてくれ。」



えっ？



庄司君が殴る？



あんなに穏やかそうな彼がそんなことをするなんて想像つかないけれど、怒ったら怖いのだろうか？



「嘘だよ。あいつはそんなことしない。とりあえず、今日は泊まりな。」



そう言ってニカッと笑いながら寝室へ消えていった。



「あの人休みの前の日は何時までも起きているんだけど、試合の時は早く寝るのよ。」



そんな時間にすいません、と心の中で呟く。



庄司君に連れてこられた場所は庄司君の先輩の家だった。



もちろんその先輩、桃山さんもプロ野球選手で庄司君と初めて会った時に一緒にいた人だ。



出迎えてくれた奥様はどこかで見たことがあるなと思っていたら、元アナウンサーの梅澤さくらだった。